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【6月に対応必須】年度更新と算定基礎届ってなに?必要な書類を準備しましょう

会社に労働保険の年度更新の書類が郵送で届いたんですが、社員へ支払った賃金合計が必要みたいなんです。これは、提出しないといけないものなんですか?

そうですね。提出が必要です。
労働保険の年度更新は、毎年6月1日から7月10日の間に、前年度の確定保険料と今年度の概算保険料を、一般拠出金とあわせて申告しないといけないルールになっています。

そうなんですか・・・。社員に支払った1年分の賃金を集計するなんて大変な作業です。急いで人事担当に頼まないと! でも、人事担当は算定基礎届の準備で忙しいみたいなんですよね。 算定基礎届は何のための届出なんですか?年度更新とは別のものなんですか?

算定基礎届健康保険と厚生年金(社会保険)の標準報酬月額の定時決定をするための届出です。
被保険者(従業員)が実際に受け取っている報酬と現在適用されている(保険料の計算の基礎となっている)標準報酬月額が大きくかけ離れないように、毎年7月1日から10日の間に4月・5月・6月の報酬月額を届け出ることになっています。

算定基礎届と労働保険の年次更新が重なるこの時期、人事担当者は忙しいですよね。 それぞれの手続の概要と準備のためにどんな書類を揃えておかなければいけないかを詳しく説明します。

※ 今年の年度更新は、雇用保険料の料率が10月から上がるので注意が必要です!確認しましょう!

こちらの用語集も参考にしてください!

年度更新について (労働保険に関する手続き)

年度更新の概要

年度更新は、労働保険の継続事業において、前年に納めた概算保険料と確定保険料の精算をし、あわせて、当年の概算保険料を算出して申告・納付するという手続です。

継続事業(建設工事は対象外)の労災保険と雇用保険の保険料と、石綿(アスベスト)による健康被害救済のための一般拠出金をあわせて申告・納付します。

*労働保険の保険年度の期間

 毎年4月1日から翌年3月31日

*申告期限

 毎年6月1日から7月10日まで(平日が土日の場合は後ろに延びます)

*申告書の提出先

 金融機関・郵便局又は都道府県労働局・労働基準監督署(持参・郵送のどちらでも可)

e-Govからの電子申請も可能です。

電子申請の方法はこちらの「e-Govからの電子申請の方法」で確認できます。

*納付期限

 労働保険料は一括支払だけでなく、概算保険料額が40万円以上であれば3回にわけて延納できます。 (労災保険もしくは雇用保険のどちらかの保険関係のみの場合は20万円以上)

①第1期 : 4/1~7/31分  納期限7月10日 (口座振替日9月6日)

②第2期 : 8/1~11/30分 納期限10月31日(口座振替日11月14日)

③第3期 : 12/1~3/31分 納期限1月31日 (口座振替日2月14日)

※納期限が休日の場合は翌日が納期限となります。

労働保険の年度更新とは

引用:労働保険の年度更新とは

次の図が労働保険の申告書の記入例です。前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を別々に算出するようになっています。

労働保険の申告書の記入例

下段には1期から3期の納付金額を記入します。一括納付の場合は1期のみの記入です。また、前期保険料の確定差額と一般拠出金は延納の場合でも1期の額に加算して納付することになっています。

労働保険料算定の基礎となる賃金総額とは?

賃金総額とは、労働保険料を計算する基礎となる金額のことです。労災保険も雇用保険も同じ基準で考えます。税金や健康保険料・厚生年金保険料などを控除する前の支払総額で、具体的には以下のようなものが該当します。

【賃金にあたる代表的なもの】

基本賃金賞与残業手当 宿直・日直手当
通勤手当(非課税含定期券(現物給付)回数券(現物給付) 扶養手当
技能手当地域手当 住宅手当 調整手当
奨励手当休業手当 前払退職金 物価手当(家計補助)

注意する点として、社宅を会社が与えている場合の家賃は賃金と認識します。その他、食事補助は1/3以上を補助していると現物給与と認識します。

詳しい賃金の範囲はこちらの「労働保険対象賃金の範囲」で確認できます。

年度更新前に準備する書類は?

年度更新の申告書の記入例をみてもわかるように、申告には保険料算定の基礎となる賃金額が必要です。労災保険と雇用保険の保険料の算出に必要な作業と資料を確認しましょう。

労災保険料の算出の基礎となる賃金は全ての労働者に支払った賃金の合計です。雇用形態や労働時間の長短に関係ありません。仮に不法就労が発覚しても支払った賃金は対象となります。対象外なのは、役員や家族従業員、海外派遣者などです。該当者がいればリストアップしましょう。

雇用保険料の算出は雇用保険加入者だけを集計するので、雇用保険加入者のリストが必要です。

以上の作業をするため次のような書類が必要となります。

・賃金台帳

・賞与台帳

・社員台帳(2019年4月1日に64歳に到達しているか確認するため)

・社宅一覧(給与課税している場合は賃金台帳で確認できるので不要)

・現物給付の支給データ

・前払退職金の支払データ

・家族従業員や海外派遣者のリスト

算定に影響するイレギュラーな賃金の支給については毎月リストを作成していくと申告時にスムーズです。

算定基礎届について (社会保険に関する手続き)

算定基礎届の概要

健康保険と厚生年金の標準報酬月額の定時決定のことで、4月・5月・6月の報酬月額を届出して、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額を決めることです。定時決定ともよびます。

*届出期間

7月1日から7月10日

*届出する内容

4月・5月・6月の報酬月額

定時決定の計算
引用:日本年金機構|定時決定

算定基礎届(定時決定)以降に昇給などで大幅に報酬がかわった場合は「月額変更届(随時改定)」して標準報酬月額を変更することも覚えておきましょう。

届出対象者は?

基本的に休職や欠勤、海外出張中の人を含む全被保険者を対象としています。ただし、6月1日から7月1日の期間に被保険者になった人は算定基礎届の提出が不要です。他にも、7月に月額変更届や育児休業等終了時変更届などを提出する被保険者も対象外です。

支払基礎日数とは?

支払基礎日数とは報酬を計算する基礎となる日数のことです。算定基礎の届出対象となる月は支払基礎日数が17日未満(短時間労働者は11日未満)の月を除外することになっています。

賃金締日により支払基礎日数がかわってきます。例をあげると次のようになります。

支払基礎日数
引用:算定基礎届の記入・提出ガイドブック

賃金台帳の内訳と支払基礎日数を算定基礎届に転記する場合の記入例です。参考にしてください。

引用:算定基礎届の記入・提出ガイドブック
【支払基礎日数のポイント】

・基礎日数に有給休暇で休んだ日は含める。
・基礎日数に有給休暇の取得日は含める。
・欠勤は基礎日数に含めない。
・一般的な方法で算定できない場合は修正平均します。仮に4月に休職していたら5月、6月分の報酬の合計を2カ月で割って算出した額を報酬月額とします。
・4月、5月、6月の3カ月とも支払基礎日数が17日未満の場合は、保険者算定で従前の標準報酬月額で引き続き定時決定します。
・中途入社の社員は入社月を除外します。仮に4月25日入社で、給与が20日締め翌25日払いだとすると5月分は日割給与となりますので6月のみを対象とします。

算定基礎届で報酬となるものは?

標準報酬月額の対象となる報酬とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与などを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのものです。また、通勤定期券など現物で支給されるものも報酬に含みます。

具体例として次の図のような報酬が対象となります。

報酬となるもの
引用:算定基礎届の記入・提出ガイドブック

報酬の注意点

6カ月定期を現物支給している場合は、6分の1の金額を計算して月々にわけて支給したものとして按分計算します。4月に6カ月定期を支給している場合は賃金台帳の支払内訳金額と報酬金額がことなりますので注意しましょう。

賞与が年4回以上支給された場合は年間総額を12カ月で割って各月の報酬に加算しますので賞与回数忘れずに確認しましょう。

4月は昇給なども多く差額支給も発生します。昇給差額分で算定基礎月以前の金額は算定基礎届の対象外ですから除いて計算します。賃金台帳の調整額は注意して内容確認しましょう。

算定基礎の対象月に休業手当など6割支給の月が含まれていれば、その月を除いた修正平均で報酬月額を計算すます。

今年の算定基礎届は該当する人もいると思いますのです、必ずチェックしましょう。

算定基礎届の作成前に準備する書類は?

算定基礎届の準備には報酬を確認するため賃金台帳だけでなく、届出対象者を確認するための被保険者リストが必要です。また、資格取得日を確認して届出対象外の被保険者を除く作業もあります。

4月・5月・6月の支払基礎日数を確認するため勤務記録表も準備しなければなりません。

作業をするため次のような書類が必要となります。

・被保険者一覧表(算定基礎届の対象者を確認します)

・賃金台帳

・勤務記録表

・社員台帳(資格取得日を確認します)

・賞与台帳(年の支払回数と金額を確認します)

・社宅一覧(給与課税している場合は賃金台帳で確認できるので不要)

・現物給付の支給データ

・前払退職金の支払データ

年度更新は1年分の賃金を、算定基礎届は4月~6月の報酬と支払基礎日数を確認しなければ作成できない届出です。社員数が多ければ多いほど、時間と手間がかかります。
事前に準備できるものから早めに準備を進めましょう。

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classwork編集部

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