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美容室・サロン経営者向け 雇用調整助成金 Q&A ①制度そのものについて

雇用調整助成金とはどのような制度ですか?

雇用調整助成金は、
売上が減少して事業活動が縮小した事業主が、それを理由に労働者を解雇するのではなくて、休業や教育訓練などによって雇用を維持した場合に、その取り組みに対して、休業手当などの一部を助成するものです。

つまり、売上が下がっていれば助成金を受給できるということなのでしょうか?

「売上が下がること」ということのみを条件とした助成金はありません。

「売上が下がったが、従業員を休ませて、休業手当を支給して雇用を維持している」という状態に対して、助成金が支給されるとイメージしてもらえればと思います。

雇用調整助成金以外に、売上が減少した事に対する助成金はありますか?

売上が減少したことを条件の一つとする助成金は、現時点では雇用調整助成金のみです。

売上はどれくらい下がっていればよいのですか?

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、売上の減少要件が通常より緩和されています。

4月1日以降に休業を開始した場合、前年同月と比べて売上が5%以上下がっていれば対象となります。

初回の計画届を提出する月の前月を元にして比較します。
本来、計画届は休業実施前に出さなければならないものですが、今回は同時あるいは休業実施に提出することも認められているので、そのタイミングによって比較する数字が変わります。

計画届を出すタイミングによって比較する売上が変わるのですね。5%であれば、今回の影響で満たしています。

お店が営業している状態で、従業員を休ませることが必要なのでしょうか?

お店が営業していても、従業員の方を休ませた場合には、「休業」にあたります。

お店の「休業」と紛らわしいですが、ここでいう「休業」とは、従業員の方が本来の労働日に働ける状態であるにも関わらず、会社側の都合で働かせることができない状態、と整理していただければと思います。

「休業」とは、お店ではなくて、従業員に対しての言葉なのですですね。

業務委託契約やアルバイトなど、雇用保険に加入していない従業員でも助成対象になるのですか?

4月~6月の間は、雇用保険に加入していない方も助成金の対象になります。
雇用保険の被保険者とは、助成金の枠組みが異なっており、支給額も申請書類も違うので注意が必要です。

また、
本来雇用保険の加入対象である方が未加入のままである場合、審査段階で指摘が入る可能性があります。最悪の場合は不支給になる可能性も考えられます。

業務委託の方は対象外です。「労働者であること」が条件であるためです。その意味では社長や役員も対象外です。

雇用保険の加入対象となる従業員とは、誰を指しますか?確認しておきたいです。

31日以上引き続き雇用されることが見込まれており、一週間の労働時間が20時間以上である方が対象です。

事業者が個人事業主の場合は助成金の対象外でしょうか?

「個人事業主」であっても、従業員を雇用されていてお休みさせていましたら助成金の対象になり得ます。法人企業に限る、ということはありません。

ただし、事業者として雇用保険に加入している必要があります。(雇用保険の対象者がいない場合は、労働保険)

お店がつぶれたら助成金の対象にはなりませんよね?

倒産してしまいますと助成金の支払先がなくなることになり、助成金は支給されないのではないかと考えられます。

資金繰りについては、助成金ではなく融資などといった別の手立ても考慮いただく必要があります。
支援メニューについては、経済産業省の下記の一覧表が参考になります。

要件を満たした場合に受け取れる金額はどれくらいなのですか?

雇用保険被保険者とそれ以外の方に分けてご説明しますね。金額の計算式は文字だけだとわかりにくいと思うので、【助成額算定書】に実際に数字を当てはめながら確認してみてください。

雇用保険被保険者の方については、会社の前年度の平均的な賃金額を元にして助成額が計算されます。

計算の流れとしては、

(1)まず、事業場における平均賃金額を出します。

前年度の雇用保険の算定基礎となる賃金総額(毎年労働保険料の申告時に提出する確定保険料申告書に記載している金額)をもってきます。その賃金総額を、[前年度の労働者数の平均×年間所定労働日数]で割って、1日あたりの平均賃金額を出します。

(2)次に、基準賃金額を出します。
平均賃金額に対して事業場で決めた休業手当の支払率をかけて、基準賃金額を出します。休業手当の支払率は事業場の取り決めに応じて変わるので、この%の部分には原則として60〜100の数字が入ります。

(3)その基準賃金額に対して、助成率をかけます(1人日あたり助成額単価)。
この基準賃金額に助成率をかけたものに対しては、8,330円という上限があります。これは基本手当日額の上限額を元にした数字ですが、この8,330円を超えた場合は8,330円として計算します。

こうして出された金額に、休業の延べ日数をかけたものが助成額、ということになります。

申請書類の一つである、助成額算定書を見るとイメージがしやすいかと思います。

雇用保険被保険者以外の方については、
実際に支払った休業手当額×支給率となります。

こちらも、助成額算定書を載せておきます。

休業させる場合、「平均賃金の6割以上を支給する必要がある」と聞きましたが、
例えば、平均賃金の6割を超えていれば、「平均月給の8割」などというように自社で休業手当の基準を決めても問題ないのでしょうか?

「平均賃金の6割以上」であれば問題ありません。
ただし、平均賃金の6割を下回る額となってしまいますと条件を満たさないためご注意下さい。
「休業協定書」というものを会社と従業員との間で締結し、そこで支給率を定めることになります。

平均賃金」はどのように計算すればよいのですか?

【「休業の初日の直近の賃金締切日からさかのぼって3ヶ月間に支払われた賃金の総額」を、「その期間の暦日数」で割ったもの】が、1日あたりの平均賃金です。

ただし、日給制や時給制など、労働日数に応じて賃金額が変動するケースを考慮して、
【「休業の初日の直近の賃金締切日から遡って3ヶ月間に支払われた賃金の総額」を、「その期間に労働した日数」で割ったものの60%】が、最低保証額とされています。

上記のいずれか高い方が、平均賃金となります。

賃金の総額には、臨時で支払われたものを除いて、通勤手当などをすべて含めます。

また、「業務上の負傷・疾病による休業期間」「産前産後休業期間」「使用者側の理由による休業期間」「育児・介護休業期間」「試用期間」は、賃金の総額からも、日数からも除きます。

支払う休業手当は、「平均賃金の○割」とすればいいのですか?「平均月給(所定給与)の○割」とすればいいのですか?

平均賃金の6割を下回らなければ、どちらをベースにするか、労働者との話し合いの上、自社で決めることができます。

なお、雇用保険被保険者については、どちらをベースにするかで、助成額の計算式が変わります。

「平均賃金」を休業手当の計算の基礎とした場合、(3)に365日を入れて平均賃金額を計算します。
「所定給与」を休業手当の計算の基礎とした場合、(3)に「前年度の年間所定労働日数」を入れて計算します。

「平均賃金」を元にするのと、「所定給与」を元にするのとでは、助成金の基準となる金額の計算式が変わるのですね。
休業手当を決める前に、一度計算してみることにします。

記事監修

【監修者】社会保険労務士 金山杏佑子

classwork編集長。社会保険労務士事務所ヨルベ代表。スタートアップの労務管理に注力。