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運送業経営者向け 雇用調整助成金 Q&A ①制度そのものについて

雇用調整助成金とはどのような制度ですか?

雇用調整助成金は、
売上が減少して事業活動が縮小した事業主が、それを理由に労働者を解雇するのではなくて、休業や教育訓練などによって雇用を維持した場合に、その取り組みに対して、休業手当などの一部を助成するものです。

休業要請されていない運送業でも対象になるのでしょうか?

休業要請とは関係がありません。業種による制限もありません。

売上が下がっていれば助成金を受給できるのでしょうか?

2月頃に一度助成金を検討した時に、売上減額が中国に対してだけと書かれたパンフレットをみました。これです。
うちは中国とは直接の関係はありませんが、売上は下がっています。

雇用開発助成金(対中国)

売上の内容に関する要件は、現在は撤廃されています。
一度申請を検討され断念された場合も再検討の余地はあると思います。

ただ、「売上の減少」のみが受給条件ではありません。
雇用の維持を目的とした助成金ですから「売上が下がっても従業員を解雇せず、一定額以上の休業手当を支給して雇用を維持している」状態に対して支給されるものと整理してもらえればと思います。

売上はどれくらい下がっていれば良いのですか?

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、売上の減少要件が通常より緩和されています。

4月1日以降に休業を開始した場合、前年同月と比べて売上が5%以上下がっていれば対象となります。

初回の計画届を提出する月の前月を元にして比較します。
本来、計画届は休業実施前に出さなければならないものですが、今回は同時あるいは休業実施に提出することも認められているので、そのタイミングによって比較する数字が変わります。

なるほど。計画届を出す時期によって比較する売上が変わるのですね。5%であれば今回の影響で満たしています。

雇用調整助成金以外に売上が減少したことに対する助成金はありますか?
また、その他にも売上減少により受けられる特例などありますか?

売上が減少したことを条件の一つとする助成金は、現時点では雇用調整助成金のみです。

売上減少に応じた資金繰り支援策としては、融資メニューなどが幅広く用意されています。下記の一覧表が参考になると思います。

「休業」が要件ということは、事業所が営業を休めば助成金対象になるのでしょうか。

ここでいう「休業」とは、所定労働日に従業員を休ませることをさします。事業所が営業を休むことをいうのではありません。

そのため、事業所が営業を休んでいても、従業員を出勤させて内部の事務処理などを業務として行わせている場合、助成金の対象とはなりません。

「休業」とは、事業所ではなくて従業員に対しての言葉なのですね。

私は、個人で運送業を営んでいます。
大手と業務委託契約を結んでいますが、荷物が激減して開店休業状態です。
休業手当は受けられるのでしょうか?

休業手当の支払いは、事業主から労働者に対して行われるものです。
休業手当の対象は労働者です。業務委託の場合、雇用関係がなく労働者ではありませんので対象とはなりません。

個人事業主の方は、経営者である点でも休業手当の対象とはなりません。

従業員を雇用していますが、法人ではありません。その場合、助成金は対象外でしょうか。

雇用調整助成金は従業員の雇用の維持に対してですから、事業主が法人・個人であるかを問いません。個人でも従業員を休ませていれば助成金の対象になり得ます。

ただし、青色専従者の方は従業員にはあたらず、助成金の対象とはならないので注意してください。

年明けから事業を開始したばかりですが雇用調整助成金を受けられるのでしょうか?

特例によって、事業所設置後1年未満の事業所も対象とされています。

事業を開始したばかりでも雇用保険の事業所設置届を提出して、雇用保険に加入していれば助成金を申請できます。

雇用保険の加入対象となる労働者が一人もいない場合には、労働保険に加入していれば助成金の対象となり得ます。

従業員の家族が発熱したので、念のため自宅待機をさせています。その場合でも助成金の対象になるのでしょうか?

会社の命令による自宅待機であり、平均賃金の60%以上の休業手当を支給していれば、対象となります。

4月から雇用して1日も出社せずに休業させている従業員も助成金の対象になりますか?

入社後、1日も出社していない従業員の方についても雇用調整助成金の対象となります。

アルバイトなど雇用保険に加入していない従業員でも助成対象になりますか?

4月~6月の間は、雇用保険に加入していない方も助成金の対象になります。
雇用保険の被保険者とは、助成金の枠組みが異なっており、支給額も申請書類も違うので注意が必要です。

また、
本来雇用保険の加入対象である方が未加入のままである場合、審査段階で指摘が入る可能性があります。最悪の場合は不支給になる可能性も考えられます。

雇用保険の加入対象となる従業員とは、誰を指しますか?確認しておきたいです。

31日以上引き続き雇用されることが見込まれており、一週間の労働時間が20時間以上である方が対象です。

雇用調整助成金はいくら受け取れるのですか?

雇用保険被保険者とそれ以外の方に分けてご説明しますね。金額の計算式は文字だけだとわかりにくいと思うので、【助成額算定書】に実際に数字を当てはめながら確認してみてください。

雇用保険被保険者の方については、会社の前年度の平均的な賃金額を元にして助成額が計算されます。

計算の流れとしては、

(1)まず、事業場における平均賃金額を出します。

前年度の雇用保険の算定基礎となる賃金総額(毎年労働保険料の申告時に提出する確定保険料申告書に記載している金額)をもってきます。その賃金総額を、[前年度の労働者数の平均×年間所定労働日数]で割って、1日あたりの平均賃金額を出します。

(2)次に、基準賃金額を出します。
平均賃金額に対して事業場で決めた休業手当の支払率をかけて、基準賃金額を出します。休業手当の支払率は事業場の取り決めに応じて変わるので、この%の部分には原則として60〜100の数字が入ります。

(3)その基準賃金額に対して、助成率をかけます(1人日あたり助成額単価)。
この基準賃金額に助成率をかけたものに対しては、8,330円という上限があります。これは基本手当日額の上限額を元にした数字ですが、この8,330円を超えた場合は8,330円として計算します。

こうして出された金額に、休業の延べ日数をかけたものが助成額、ということになります。

申請書類の一つである、助成額算定書を見るとイメージがしやすいかと思います。

雇用保険被保険者以外の方については、
実際に支払った休業手当額×支給率となります。

こちらも、助成額算定書を載せておきます。書類にあるように、【緊急雇用安定助成金】という名称です。

休業させる場合、「平均賃金の6割以上を支給する必要がある」と聞きましたが、
例えば、平均賃金の6割を超えていれば、「平均月給の5割」などというように自社で休業手当の基準を決めても問題ないのでしょうか?

「平均賃金の6割以上」であれば問題ありません。
ただし、平均賃金の6割を下回る額となってしまいますと条件を満たさないためご注意下さい。
「休業協定書」というものを会社と従業員との間で締結し、そこで支給率を定めることになります。

「平均賃金」はどのように計算すればよいのですか?

【「休業の初日の直近の賃金締切日からさかのぼって3ヶ月間に支払われた賃金の総額」を、「その期間の暦日数」で割ったもの】が、1日あたりの平均賃金です。

ただし、日給制や時給制など、労働日数に応じて賃金額が変動するケースを考慮して、
【「休業の初日の直近の賃金締切日から遡って3ヶ月間に支払われた賃金の総額」を、「その期間に労働した日数」で割ったものの60%】が、最低保証額とされています。

上記のいずれか高い方が、平均賃金となります。

賃金の総額には、臨時で支払われたものを除いて、通勤手当などをすべて含めます。

また、「業務上の負傷・疾病による休業期間」「産前産後休業期間」「使用者側の理由による休業期間」「育児・介護休業期間」「試用期間」は、賃金の総額からも、日数からも除きます。

支払う休業手当は、「平均賃金の○割」とすればいいのですか?「平均月給(所定給与)の○割」とすればいいのですか?

平均賃金の6割を下回らなければ、どちらをベースにするか、労働者との話し合いの上、自社で決めることができます。

なお、雇用保険被保険者については、どちらをベースにするかで、助成額の計算式が変わります。

「平均賃金」を休業手当の計算の基礎とした場合、(3)に365日を入れて平均賃金額を計算します。
「所定給与」を休業手当の計算の基礎とした場合、(3)に「前年度の年間所定労働日数」を入れて計算します。

「平均賃金」を元にするのと、「所定給与」を元にするのとでは、助成金の基準となる金額の計算式が変わるのですね。
休業手当を決める前に、一度計算してみることにします。

記事監修

【監修者】社会保険労務士 金山杏佑子

classwork編集長。社会保険労務士事務所ヨルベ代表。スタートアップの労務管理に注力。