【インタビュー】東京都テレワーク助成金の活用事例「株式会社HES」
現在東京都が募集しているテレワーク助成金(正式名称:「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」)は、テレワーク環境の整備費用を助成するもので、一社あたり上限250万円、助成率10/10、と非常に手厚い助成内容となっています。
新型コロナウイルス対策として3月に募集が始まり、その後、申請件数の増加と新型コロナウイルスの拡大を受けて対象が3,000社に拡充されました(当初は100社。追加予算は約80億円)。募集期限も7月末まで延長されています。
緊急事態宣言を受けて環境整備が整わないまま在宅勤務をスタートさせた会社や、これを機にテレワーク体制を整えたい、と考える会社(*1)は是非活用したいこの助成金。
そこで、助成金申請を行い、支給決定を受けた会社にインタビューしてきました!
インタビューを引き受けてくださったのは株式会社HESさんです。よろしくお願いします。
✔︎助成金の概要についてはこちらをご確認ください→https://classwork.news/tokyo-telework-subsidy/

総務課のNさん(左)と代表取締役の小川さん(右) 手前は金山
助成金を知った経緯
申請されたのは3月中と、募集開始から比較的すぐに動かれたのですね。どうやって情報収集されたのでしょうか?
新型コロナ関連の補助金等、自社で活用できるものはないかとインターネットで情報収集していてこの助成金について知りました。
ちょうど当社の提供するDX(デジタルトランスフォーメーション)推進などのサービス内容にマッチしていることもあり、まずは自社で、と思って準備を進めました。

こちらが御社のご提案資料の一つですね。今回の助成金で作成が求められる環境構築図も、こうした例を元に考えていくと良さそうですね。
そうですね。Asis(導入前)とToBe(導入後)の全体像を作った上で、必要な機器を選んでいくという流れですね。
導入機器・ツールの選び方
購入、あるいは今回申請する機器の選び方で苦労したことありますか? 今回だと、10万円未満の機器が対象なのでハイスペックのPCは買えない、という話はよく聞きます。
そうですね。この図のような形で必要な機器をリストアップしていったのですが、1のデスクトップPCや11のFWなどは申請対象からは外しました。
それと、相見積もりがなかなか取れなかったので、同スペックのものはあらかじめ複数候補を挙げておくとスムーズだと思います。

機器の購入費のほか、設置費や導入サポート費、クラウドサービスの利用料も対象になりますね。
対象経費
①機器等の購入費
②機器の設置・設定費
③保守委託等の業務委託料
④導入機器等の導入時運用サポート費
⑤機器のリース料
⑥クラウドサービス等ツール利用料
⑥のツール利用料は、期間による料金設定があるものは最大3ヶ月分なので、そこも注意が必要ですね。導入の初期費用も対象になりますが、当社はすでにツールを導入済みだったため利用しませんでした。

なるほど。
御社の「バックオフィスのIT化」提案資料、とてもわかりやすいですね。
(注:こちらの資料は株式会社HESの提案資料であり、テレワーク助成金の申請書式ではありません)
テレワーク環境を構築する上でのポイントは2つに分けられます。
1つめはSaaSを利用したクラウド環境の構築、
2つめはそうしたクラウド環境にオフィス以外(自宅など)からアクセスできるようにすること。
今回の助成金でカバーできるのは主に後者だと思いますね。
なるほど。ソフト面とハード面ですね。
1つめについてはIT導入補助金など別の補助金も活用できそうですね。
今回の助成金で対象外となるものが以下にまとまっていたのでそちらも参考になりそうです。

社内に設置するパソコンは対象外だったり、それと、バックアップ用のものは対象外なんですね。
バックアップはむしろBCP(事業継続計画)関連の助成金の対象になる気がします。
✔︎(追記)BCP実践促進助成金の募集情報です。https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/bcp.html

実際に検討してみて気づいたこと
実際に準備を進めてから気づいたこと、大変だったことってありますか?これから申請する会社の参考になるかと思います!
先ほども言いましたが、とにかく相見積もりを取るのが大変でしたね。3月はコロナの影響で物流がストップしていて、見積もりも揃わないし、そもそも在庫がないものも多かったりして、実施対象期間中に購入できないなどの理由で当初リストアップしていたものから大分変更がありました。
補足すると、1社あたりの契約金額が税込30万円以上の場合は、相見積書の添付が必要ですね。
その点、これから検討される会社にとっては少しずつ在庫不足の問題は解消されてきているかもしれませんね。
購入機器の見積もりはスムーズかもしれませんが、業務委託料とかサポート費の見積もりは時間がかかりそうなので早めに検討した方がいいかもしれません。
申請書類の注意点
この助成金は申請方法が郵送のみという点も特徴的ですよね。書類に不備がある場合は事務局の方から連絡があるので、受理状況などの問い合わせはできないようですね。
書類面で言うと、金額計算書の金額が間違っていた箇所があり、その費用については問答無用で削られてしまいました。税抜きと税込みも気をつけないと。
なんと、厳しいですね・・・出す前に要チェックですね。

税抜きの部分(オレンジ色)が助成対象経費なので、10/10とはいっても消費税の部分は自社負担である、というところは意外と見落としがちかもしれません。
あと、自社で負担する部分としては、購入後に型番の写真を撮ってから従業員の自宅に送る際の送料などもですね。
そうそう、支給決定が出てから購入(導入)、という流れも押さえておかないといけませんね。支給決定が出たのは申請から1ヶ月程度でしたか?
そうですね。1ヶ月程度でした。途中、事務局からメールで修正指示がありました。

ステータスでいうと助成事業の実施・完了のフェーズで、ちょうど申請した機器の購入を進めており、終わり次第実績報告のフェーズに移れそうです。
支給決定通知がきたあとで、機器の購入やツール導入(=助成事業の実施・完了)、実績報告書の作成、その後ようやく助成額の確定通知、助成金の振込、と続くので、手順を意識して間違えないようにしたいですね。
まとめ
今日はありがとうございました!これから申請する会社の参考になるのではないかなと思います!
特に東京都はいろんな助成金があるので、是非また御社でトライする/したものあれば教えてください。
・・・こんなのもあります。→ボランティア休暇制度整備助成金
お役に立てたなら嬉しいです。へー、休暇制度の整備に20万円の助成が出るんですね。オリンピックに向けてなんですね。
テレワークでは、労働時間の管理だとか、社内規定作りも重要ですよね。
当社はこの助成金の活用余地も踏まえ、テレワーク環境構築の相談をお手伝いできますので、お困りでしたらお声掛けください。
まさにそのあたりなど課題ですね。話の中で出てきたBCP対応なども、これを機に見直したいですね。
労務周りの規定整備については社労士もサポートできます。上手く専門家活用しつつ、テレワーク環境を構築してもらいたいですね。
小川さん、新関さんありがとうございました!
株式会社HESについて
ITインフラに関連する設計/構築から運用までのトータルサポート、AWSやAzureなどのクラウドサービス導入サポート、データ可視化のコンサルティングや環境構築などといったサービスを提供しています。

会社HP(https://www.he-service.co.jp/)
*1)「常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社または事業所を置く」など一定の会社要件があります。詳しくはこちらをご確認ください。→募集要項まとめ

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記事監修
【監修者】社会保険労務士 金山杏佑子
classwork編集長。社会保険労務士事務所ヨルベ 代表社会保険労務士。スタートアップの労務管理に注力。note