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【手続き】従業員の産休・育休時の必要書類と準備 まとめ

従業員から妊娠の報告を受けました。もれなく手続きを進めてあげたいのですが、我が社で初めての事例なので確認しておきたいです。

出産前の産前休業から始まり、出産後に育児休業して復帰するまで、各種手続を継続して行います。
妊娠した従業員の方が休業に入ると連絡を取りづらい状況になることもありますから、各種の手続については休業開始前に説明したほうがよいですね。

産休と育休
産休と育休のちがい
引用:厚生労働省|あなたも取れる! 産休&育休

手続によって健康保険で申請するものや雇用保険で申請するものがあるんですね。これは一覧表で整理しておくのがよさそうですね。

従業員の方の産休・育休の際に会社が行う手続について順にご説明します。

引用:厚生労働省|あなたも取れる! 産休&育休
厚生労働省|あなたも取れる! 産休&育休

従業員が出産する際の人事担当者の対応を時系列で確認していきましょう。手続の種類を記載していますので参考にしてください。

従業員から妊娠の報告を受け、人事担当の対応はスタートします。

(1) 出産予定日の確認 【社内手続】

産前産後休業や育児休業期間の開始予定日を把握しましょう。

産前休業は出産予定日6週間前から産後休業は出産日の翌日から8週間です。(産後休業は本人が希望し医師の許可があれば6週間以降に就業してもよいことになっています)

会社の諸届用紙(なければ任意の様式でも可)で必ず書面で休業開始日などは届出てもらいます。諸届用紙であれば、通常は上司を経由して人事部に届くので、休業に入る従業員の部署内でも休業開始日の情報を共有できます。

後々のトラブル回避や所属部署との情報共有の点からも書面で残すことが必要です。

(2) 扶養者の確認 【健康保険】 

生まれた子を従業員が扶養するかどうかを確認しましょう。

配偶者が扶養する場合の手続は不要ですが、従業員が扶養する場合は健康保険の加入手続が必要となります。

従業員とは出産後に連絡をとることが難しい状況も想定されますので、事前に扶養者を確認して必要書類の説明をしておきましょう。

最近は兄弟でも両親それぞれが別々に扶養している家庭もあります。第1子を扶養していないからといって、出産する子も配偶者が扶養するとは限らないので必ず確認しましょう。

(3) 出産育児一時金 【健康保険】

出産育児一時金支給申請書には会社の証明欄はありません。従業員が出産した病院の証明をもらい自身で手続をします。

一時金の金額は、一児の出産につき42万円です。ただし、産科医療補償制度に加入されていない医療機関等で出産した場合は、40.4万円です。

協会けんぽから直接出産した医療機関等に一時金を支払ってもらう直接支払制度・受取代理制度があります。まとまった出産費用を準備する必要がないので金銭的な負担が軽くなります。出産にかかった費用が一時金を超えた場合は差額のみ出産した従業員が病院に支払います。

直接支払制度
受取代理制度

引用:協会けんぽ|出産育児一時金の支給方法

最近多い帝王切開は医療となります。そのため、健康保険の対象となり支払額によっては高額療養費に該当します。高額医療費制度は従業員が手続をするのもですが、知らない場合もあるので説明しておきましょう。あわせて高額医療費控除の対象となる可能性もあり確定申告すると所得税が還付されることを伝えておくと親切ですね。

(4) 出産手当金 【健康保険】

健康保険の被保険者である従業員が出産のために会社を休み給与を受け取らない期間支給される手当です。勤怠実績や賃金を会社が証明して申請します。医師の証明も必要ですので休業に入る前に従業員に用紙を渡して依頼しておきましょう。

出産手当金支給額と支給期間は下の図のようになります。

出産手当金の支給額と支給期間

引用:協会けんぽ|健康保険「出産手当金支給申請書」記入の手引き

切迫流産などで入院した場合は出産手当金と傷病手当金を受けられる期間がかぶります。その場合は出産手当金が優先され、出産手当金の額が傷病手当金よりも少ない場合は差額が支給されますので覚えておきましょう。

(5) 育児休業給付金の届出 【雇用保険】

雇用保険の加入者で職場復帰を希望する育児休業中の人が対象の給付金です。そのため、従業員が復帰する意思があるかの確認が重要です。そういった意味でも(1)出産予定日の確認の時点で復帰の意思を確認しておきましょう。

支給額は次のように計算します。

(1) 休業開始から6カ月まで
   育児休業開始前6カ月の給与÷180日×67%
    支給条件額304,314円
(2) 休業開始から6カ月以降
   育児休業開始前6カ月の給与÷180日×50%
   支給条件額227,100円

特例として、育児休業開始前6カ月給与が月額75,000円より少ない場合は75,000円として計算します。

請求は下の図のように支給単位期間で行います。子の誕生から8週間は産後休業ですので、3カ月目から1歳までの期間が対象です。

産後休業

引用:厚生労働省|育児休業給付の内容及び支給申請手続について「給付の内容」

期間ごとに育児休業給付金支給申請書を会社がハローワークに提出します。従業員の捺印も必要です。都度、従業員とやりとりするか、便宜的に休業前にまとめて捺印をもらっておくかは会社の運用だと思いますのでルール化しておきましょう。

引用:厚生労働省|育児休業給付の内容及び支給申請手続について「育児休業給付金支給申請書記入例」

また、育児休業は保育園などに入れない場合は2歳まで延長できます。育児休業の延長に伴い育児休業給付金を受けられる期間も延びますので、申請漏れのないように注意しましょう。

育休2年まで延長可能

引用:厚生労働省リーフレット

(6) 社会保険料免除の届出 【健康保険と厚生年金保険】

健康保険料と年金保険料は会社が「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構へ提出することで免除されます。

この届出は、将来の年金計算にもかかわる重要な届出です。届出していないと保険料が未納となってしまいますので漏れのないように処理しましょう。

届出の留意点
出典:健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届 |留意事項

育児休業等取得者申出書は開始・延長・終了と同じ様式で届出ます。延長の場合は期間が延びるたびに提出します。

育児休業等取得者申出書記入例

引用:日本年金機構|健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書(記入例)

(7) 源泉所得税の扶養控除等の(異動)申告 【所得税】

従業員が出産した子を扶養する場合は年末調整にも影響してきます。12月が出産予定日の場合は当年の「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」を再度提出してもらいましょう。12月末の年末調整に間に合わなかったときも、年内に扶養が増えた場合は年末調整に生まれた子を追加して再計算します。

また、復帰した時点で、その年の「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告」を提出してもらいます。復帰後最初の給与が支払われる前までに回収するようにしましょう。

給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載例

引用:国税庁|令和2年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の記載例

(8) 休業中の会社の立替金の確認 【社内手続】

休業中は従業員の給与がありませんが、住民税などの立替金が発生します。通常は会社が立て替して納付し従業員から回収します。事前に従業員にも今まで給与引きされていた保険料や税金がどうなるのか説明しておきましょう。

①健康保険料

会社が届出することで免除されるため保険料を支払う必要はありません。健康保険証は今までと同じように使用できます。

②厚生年金保険料

会社が届出することで免除されるため保険料を発生しません。免除期間は保険料を払っていないので将来の年金額には反映されません。加入期間だけが加算されます。

③雇用保険料

会社が支払った給与に保険料率をかけて計算しますから、給与がない場合は発生しません。

④所得税

所得税は給与がなければ発生しません。育児休業給付金に税金はかかりません。育児休業を開始した年は会社で年末調整します。

⑤住民税

住民税は前年の所得に対して課税されますから、休業に入ったタイミングによっては会社が立て替えて支払います。その場合、会社に対して従業員が返金します。

①~⑤を総合すると会社が立て替えるのは⑤住民税だけです。従業員の住民税は5月に特別徴収の通知書(給与引きする金額の通知)が会社に届きます。休業中の従業員分をどうするかは会社の運用ですが、普通徴収に変更して休業中の従業員が自分で納付することも可能です。会社としてルールを決めておきましょう。

(9) 復帰後の勤務について確認

復帰1カ月前までには、復帰後に時短勤務や残業・休日出勤の制限などを希望するか確認して諸届用紙を提出してもらいます。届出が上司を経由して提出されることで、復帰後にどのような勤務が可能なのかを所属部署でも把握できます。

休業中は人事部との連絡が密で、直属の上司との連絡が希薄になりがちです。復職を受け入れる部署も、出産前と同様の勤務は難しいことを理解し受け入れ体制を整えてもらわなければなりません。

事前に調整できるものは調整して、極力トラブルを回避するようにしましょう。

復職は産休前の部署に戻すのが法律で定められています。復帰後の勤務や仕事内容など従業員と上司や所属部署との認識のズレがハラスメントの原因になることもありますので注意しましょう。

産休や育休を取得する従業員は増えています。会社が行う手続は多数ありますので漏れのないように処理しましょう。

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この記事を担当したライター

classwork編集部

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