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有休積立制度とは?制度導入の注意点を事例を紹介しながら詳しく解説します!

社員が病気で長期療養することになりました。有給休暇もあまり残っていないようです。規程で療養による長期欠勤は認めていますが給与は支給しません。健康保険から傷病手当金は出るようですが会社として何か制度を考えた方がよいのでしょうか?

消滅する有給休暇を積み立てて療養などの長期の休みに利用できる有休積立制度を導入している企業もあります。どのような制度なのかご説明しましょう。

年次有給休暇の積立制度とは

年次有給休暇の積立制度は、ストック制度や年休積立制度などとも呼ばれる制度です。

法律で定められた有給休暇は、付与日から2年までしか繰り越すことができずに消滅してしまいます。これを、会社の定めにより、消滅する有給休暇を積み立てて必要な時に使えるようにする制度です。

平成25年度の厚生労働省の発表によれば、23.4%の企業が導入しているとされています(独立行政法人労働政策研究・研修機構)。

積立有給休暇制度を導入するメリットとデメリット

積立有給休暇制度のメリットとデメリットを確認しましょう。制度導入はプラス面だけではないので、導入時には多方面からアプローチをして検討するとよいでしょう。

(1) 積立有給休暇制度を導入するメリット

・ホワイト企業としてのイメージのアップ

・採用面で福利厚生の充実をアピールできる

・社内のワークライフバランスを促進できる

・優秀な人材の確保および流出防止

(2) 積立有給休暇制度を導入するデメリット

・人件費コストの増加

・一括取得による周囲の負担

・管理が煩雑

制度導入の注意点

積立有給休暇制度を導入する場合は、いくつかの注意点があります。これらを導入時に明確に定めていないことにより労使間でトラブルになる可能性もありますので注意しましょう。

(1) 積み立てることができる日数の上限

毎年積み立てられる日数は、法律で取得が義務付けられている年5日の有給休暇を除いた日数を上限とするように定めましょう。また、積み立てられる最大日数の上限も定めたほうがよいでしょう。

最大日数は、事例を見る限り30日から60日の間で定めている企業が多いようです。なかには勤務年数で区分する企業もありますし、最大日数が100日という企業もあります。

会社の運用の部分ですので具体的な日数は自社で定められます。運用として日数を定めて周知していることが重要なのです。

(2) 積み立てた有給休暇を使用した場合の出勤率や賞与査定

積み立てた有給休暇を使用した場合、出勤率を計算する時にどのように扱うかを定めましょう。出勤率は翌年の有休付与の日数に関係してくるので重要です。

積立有休を取得したことにより出勤率が8割を切った場合の付与について明確に定めておきましょう。トラブルの原因になりやすいポイントです。

賞与も在籍期間に応じて支給されることが多いので、積立した有給休暇をまとめて取得した場合の対応を定めたほうがよいでしょう。

一般的には長期の病欠や育児休業期間は賞与査定の期間としない企業が多いので、一括取得して長期休暇を取った期間は支給しないとする企業が多いのではないでしょうか。

どちらも規程で明文化するか、労使協定を結ぶかして周知するようにしましょう。

(3) 積み立てた有給休暇の取得事由の制限

積み立てた有給休暇の取得事由にある程度の制限を定めて制度を運用している企業が多いようです。事例から具体的に次のような事由に取得を制限している企業が多くみられます。

・病気療養

・育児や介護

・ボランティア

・自己啓発

積立有給休暇の買取は可能?

労働基準法では有給休暇の買取は基本的に禁止されています。ただし例外もあり、福利厚生の充実のために法定以上に付与した分と、退職時の買取は認められています

積立有給休暇の買取を在職中にするのであれば法律を超えた部分の買取が可能です。積立している時点で消滅する有給休暇なので法律を超えた休暇だからです。退職時も同様です。

有給休暇の買取額は労使の協議によることになっており法律では定められていません。一律5,000円や10,000円と定めている会社もあれば、平均賃金での買取と定めている会社もあります。完全に個別協議という会社もあり、会社ごとの運用となります。

積立有給休暇は退職金の積み立てに活用できる!

積立有給休暇は退職金の積み立てとしても活用できます。

規程に「消滅する年次有給休暇の有効活用を図り、従業員の退職時の功労金支払いに充当し、従業員の福利向上を図る」など明確に定めれば、未使用の有給休暇の買取とは全く別の扱いで退職時の功労金として支給することができます。

扶養の壁をみながら働いているパートタイマーや有給休暇を取得しない社員にとっては消滅する有給休暇を積み立て退職金に代えることができるため、福利厚生として大きな役割をはたすのではないでしょうか。

積立有給休暇の導入事例

積立有給休暇制度は気になるが導入の進めかたがわからないという場合もあると思います。そこで、導入事例をいくつかご紹介します。

事例1:西部ガス株式会社(都市ガス製造、供給、販売等)

積立日数:失効する年休を年5日まで(合計50日まで)

取得事由の制限:リフレッシュ、病気治療、家族の介護・看護、短期育児休暇、自己啓発やボランティア等に利用可能。勤続10年目・20年目・30年目・40年目の節目に、永年勤続に連動する形でリフレッシュ休暇の取得を勧奨している。

参考:https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuukaseido/pdf/147.pdf

事例2:株式会社 ジェイエイシーリクルートメント(人材紹介事業)

積立日数:失効する年次有給休暇を最大40日まで

取得事由の制限:本人の傷病療養、家族の介護、又は子の看護のためなどの際に保有している年次有給休暇を使用してもさらに休暇が必要な場合に使用可能。

参考:https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuukaseido/pdf/145.pdf

事例:セイコーエプソン株式会社(製造業)

積立日数:取得しきれなかった年次有給休暇を最高60日まで

取得事由の制限:私傷病をはじめ、家族の介護や子どもの学校行事への参加などで必要な時 期にまとめて休暇取得が可能。有給休暇と併せて最高60日の休暇が取得できる。病気のときなどに 5カ月間有給で休める。

参考:https://work-holiday.mhlw.go.jp/kyuukaseido/pdf/136.pdf

これらの企業以外にも次のような企業が積立有給休暇制度を導入しています。

事例集①
事例集②

こんな制度があったんですね・・・。しかも多くの企業が導入していて驚きました!早速我が社も検討しようと思います。

有休積立制度は今回のように長期の療養をする社員のフォローに向いている制度です。この機会に検討するのもよいかもしれませんね。

事例をもっと詳しく知りたい場合は「厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト|有給休暇積立制度導入事例」の 「導入している休暇制度:有給休暇積立制度」で検索すると詳細を確認することができます。

記事監修

【監修者】社会保険労務士 金山杏佑子

classwork編集長。社会保険労務士事務所ヨルベ代表。スタートアップの労務管理に注力。