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雇用調整助成金の緩和措置の詳細と法定三帳簿

雇用調整助成金の緩和措置の詳細と、法定三帳簿についてご説明します。

法定三帳簿とは何のことでしょうか?

①労働者名簿、②賃金台帳、③出勤簿の3点を指します。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で事業活動の縮小を余儀なくされている事業主の方が増えているという中で、
4月1日から6月30日については「緊急対応期間」として、雇用調整助成金の要件をさらに緩和します。ということでアナウンスがされていましたが、続報と簡素化された申請書類が4月10日に公表されました。

また、法定三帳簿についても併せて整理しておきましょう。

申請書類の簡素化

緩和措置の詳細(続報)と合わせて、「申請書類を簡素化」します、ということと、支給期間(の目安)を2ヶ月からさらに「1ヶ月」に短縮します、という発表がなされました。

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申請書類についても公表されていますが、大幅に簡素化されていて、一層利用しやすくなりました。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

解雇か雇用の維持か、の話

そして、支給期間の短縮のところで、

先日、タクシー会社がドライバーの方々を「一斉に解雇」というニュースがありました。会社の主張として、休業手当を支給するよりも、失業手当を受け取ってもらった方が従業員にとっても良いとの判断と報じられていました。

また、会社が立て直しを図った際には、「希望者については再雇用」する、とのことで、いわば「日本版レイオフ」という形と言えそうです。

レイオフとは何ですか?

レイオフとは、不況時に労働者を会社都合で解雇することです。アメリカでは一般的に行われていますが、日本では一般的とは言えません。

雇用調整助成金の制度の複雑さや、支払った休業手当の全額が補填されるわけではないこと、支給までの期間が長いこと、などを考えると、いわばレイオフ、再雇用を見越したとしても一度解雇して失業手当を受け取ってもらった方が会社にとっても従業員にとっても良いのではないか?と考える選択肢も、経営者の方の頭の中には浮かぶものだと考えます。

そのどちらの選択が良いのか悪いのかは会社の状況にもよりますし、最終的には経営者の方が責任を持って決断する部分です。もし今回の件で検討しなければならないポイントをあげるとするならば、

【①失業給付の受給要件】

まず、「再雇用を明言」して解雇した場合、つまり、今回のように書面で発表した場合、再雇用を約束したとまで言えるかは解釈の余地があるのだろうと考えます。そうした場合に解雇された期間について「失業給付の受給要件を満たすのか?」また、「失業給付の趣旨にそぐわないのではないか?」という議論がでてくるでしょう。ここが解釈の余地があると言えます。今回についても、労働局の方が趣旨にそぐわない、とコメントしていたこともあり、判断が割れる部分です。

【②再雇用の確約ではないこと】

また、失業手当を受け取ってもらうという趣旨で解雇するならば、書面などで明確に再雇用を約束しておくことは(現状では)できないと言えるでしょう。そうすると結局確約はできず、たとえば会社の側が戻ってほしいと考えても従業員の側にも「転職の事由」(憲法22条)があり、逆に従業員側が戻ろうと考えていても、必ず再雇用されるとは言い難いです。それが、雇用が維持されない、ということです。

【③解雇の要件と解雇予告手続】

また、会社の都合で解雇する、整理解雇を行う場合には特に要件が厳しく求められます。また、解雇を行う場合には「30日前までに」予告するという解雇予告の手続が必要です。その手続きが適切に踏まれているのか?というようなところがあります。

ギリギリまで状況を見極め、30日前に予告できない場合は?

「解雇予告手当」という形で手当を支給する必要があります。

どれくらいの額になるのですか?

簡単に申し上げると、3か月間の賃金総額を(3か月の)総日数で除した額となります。(当然、被解雇者によって手当額は異なります)

などがポイントになってくるのかなと思います。

そのような難しさもあって、政府としては「雇用の維持」を図ってほしいということから、今回、もともとアナウンスされていた雇用調整助成金の要件緩和に加えて、「申請書類の簡素化」と、「支給期間の短縮」、を発表したのだと考えられます。

助成金の計算式の中で上限額があるため、もともとの給与額が高い方が多い会社などについては、助成金額が実際に支払う休業手当の額よりも小さかったり、持ち出しが大きくなったり、そういう面は当然あるかもしれません。少なくとも、「支給期間の短縮」という面を見れば、「雇用の維持を図る選択をしやすくはなった」と言えるでしょう。

書式についても簡素化され、計算式が組み込まれたエクセルシートなど、記入しやすくなりました。

雇用保険被保険者以外の方について

今回の4/1〜緊急対応期間について大きな特徴が、「雇用保険被保険者以外の方も対象になった」ことです。つまり、アルバイト・パートの方、それから学生の方も対象です。それらの方は厳密に言うと別立てで、「緊急雇用安定助成金」の対象となります。そのため、様式も「雇用保険被保険者」の分と分かれています

かれています。

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また、その関係から、助成率の計算式も異なっており、休業手当に相当する額×助成率という形になっています。助成率自体は同じですが、計算式は異なり、計算の対象も分かれています。

上の図(雇用調整助成金 助成額算定書)が、雇用保険被保険者を対象にした計算式、下の図(緊急雇用安定助成金 助成額算定書)が、それ以外の方を対象にした計算式です。

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原則の計算式についての考え方はこちらのnoteを参考にしてください。

添付書類も簡略化されており、既存のもので良いとされています。例えば、元々の労働日と休業させた日の実績を確認するための書類として出勤簿が必要ですが、今回は「手書きのシフト表などでも良い」とされています。


また、元々の給料と、休業手当の支払い実績を比較確認するための書類として賃金台帳が必要ですが、それも今回は、「給与明細の写しなどでも良い」ということになっています。

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それに加えて、就業規則や給与規定がある場合はそれを用いて、ない場合、つまり、10名未満の事業所などの場合には、雇用契約書や労働条件通知書の写しなどによって、労働日や労働時間、給与の構成(基本給と通勤手当、とか)などを確認することになります。

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また、事業所の規模、大企業なのか中小企業なのかで助成率が変わりますが、それを確認するための書類についても労働者名簿で良いとされています。中小企業か大企業かというのは、資本金要件と従業員数要件のいずれかを満たしていれば良い。という形で、例えば飲食店であれば資本金5000万円以下または従業員数50人以下、のいずれかに当たれば中小企業です。という判断をします。

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なお、この従業員数というのは、2ヶ月を超えて使用されるものであり、かつ、週労働時間が通常の労働者と概ね同等であるもの、週5日フルタイムとすると週40時間程度、であるものをいう、とされています。

労働基準法における定義と少し違うので注意が必要です。

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法定3帳簿&雇用契約書を整える機会に

以上のように要件が緩和され、添付書類も既存のものでも可能ととされました。
よって、法定3帳簿(労働基準める3つ帳簿、具体的には、賃金台帳、出勤簿、労働者名簿を言います)、それに加え、雇用契約書、これを整えておくことが今こそ大切だろうと言えます。

助成金は適正な労務管理が前提にあり、申請の要件として、必要書類を「整備」し、「労働局に提出」し、「保管しておいて提出を求められたらすみやかに提出」する。ことが共通の要件の一つです。そして、労働局の実地調査を受け入れることにも同意する必要があります。

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この先、どこかの時点で従業員の方を休業させるか?という選択肢に直面する可能性がある企業が多いと考えます。会社を守るために、まずは今のタイミングで必要な書類が揃っているのか?見直すことが大切だと思います。

雇用契約書については弟を相手に「雇用契約書には何が書かれている必要があるか」を説明した回があるので、そちらに譲ります。

法定三帳簿はいずれも必要記載事項が書かれていれば様式は問わないものなので、何を書いていなければならないか?というポイントを押さえれば整えられるものです。項目だけ確認しておきましょう。

【①賃金台帳】

賃金台帳については8つ。氏名、性別、賃金計算期間、労働日数、労働時間数、時間外労働・休日労働・深夜労働時間数、基本給と手当額、控除額。

【②出勤簿】

出勤簿に付随して、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインというものが設けられています。簡単に言うと会社は労働者の始業と終業の時間を適正に把握してください。というものです。

労働者の出退勤時刻を目で見て確認する(現認)あるいは、タイムカードやPCの記録で客観的に把握するのが原則として望ましいとされています。労働者の自己申告によって勤怠を管理する場合には、自己申告が適切になされるような措置をとってくださいと。例えば、自己申告されたものとビルの入退館記録などに著しいギャップがある場合には、おそらく自己申告の方が正しくないのでそれを正しく直してくださいという事態に発展することも想定されます。あとは自己申告に関する上限を設けない(「50時間までしか申告するな」としてしまうと、実際に100時間の残業があっても正しく申告できない)など、といったことがガイドラインに書かれています。

出勤簿には、氏名、出勤日、始業と終業の時刻、休憩時間、を記載します。

【③労働者名簿】

労働者名簿には、氏名、生年月日、入社からの部署の履歴、性別、住所、従業員数が30名以上の会社の場合は従事する業務の種類、雇い入れの年月日、退職の年月日とその理由、解雇の場合はその事由もあわせて、あるいは死亡の場合はその年月日とその原因。

いずれも完了の日から「3年間保存」です。全て違反した場合には30万円以下の罰金の対象にもなります。

2020年4月1日に(民法改正と同時に)労基法改正により賃金等の時効が2年から5年(当分の間3年)に延長しましたが、書類の保存期間は3年のままです。しかし、今後は賃金等が5年に延びると書類の保存期間も延長せざるを得なくなることは頭の隅にいれておきましょう!

その情報はどこで掴めばよいですか?

厚生労働省から随時、発信されます。

まとめ

長くなりましたが、書類の整備が大前提として必要です。それから、会社も労働者も皆大変な時期です。だからこそ会社と労働者との間の信頼関係が一層重要になると言えるでしょう。信頼関係の前提は「適正な労務管理」です。このタイミングで、取り組んでみるのはいかがでしょうか。

金山社労士note https://note.com/sr__yorube/n/n06641a4403f8 を元に作成しています。

記事監修

classwork編集部

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