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企業が社員をボランティアに出す意義と東京都の「助成金」の紹介

企業の経営者や幹部社員は、「自社の社会貢献」を常に考えているはずです。

社員の雇用を継続できても、利益をあげることができても、顧客の満足度が上がっても、社会貢献ができていないと「尊敬される企業」になることができないからです。それは中小零細でも大企業でも、グローバル企業でも同じです。

企業の社会貢献といっても、実際に社会に働きかけるのは従業員たちです。

したがって、従業員が「ボランティアをしたい」と言ったときに気持ちよく送り出してあげることも、間接的にではあるものの、十分、企業の社会貢献になります。

東京都も、働く人のボランティアを応援していて、企業に対して「ボランティア休暇制度整備助成金」を給付しています。

この記事では、ボランティア休暇制度整備助成金の内容を紹介したうえで、企業が従業員のボランティア活動を支援する意義を考えていきます。

都「企業にボランティア休暇制度をつくってもらいたい」

東京都がボランティア休暇制度整備助成金を創設したのは、企業にボランティア休暇制度をつくってもらいたいからです。

「延期」になってしまいましたが、東京2020オリンピック・パラリンピックでは、多数のボランティアを募集して、多くの人が参加を表明していました。

都は、このボランティア機運の高まりを、一時的なムーブメントで終わらせるのではなく、東京の企業文化にまで高めたいと考えました。

それで、ボランティア休暇制度を整備した企業を支援することにしたのです。

助成金の額、対象事業者など

ボランティア休暇制度整備助成金の額は、1社20万円です。1社1回のみの給付です。

この助成金を受け取ることができる企業などの条件(対象事業者)は次のとおりです。

・都内で事業をしている企業など

★都内で働いている常勤の労働者が2人以上いて、その2人をすでに6カ月以上継続して雇っている

・就業規則やその他の社内規定をつくり、労働基準監督署に届け出ている

★これまで、「ボランティアに関する休暇制度」を労働協約や就業規則、その他の社内規定で明文化していない

・都のホームページに企業名などを公表することに同意する

・都の事業に関する情報の提供を受けることに同意する

・従業員に最低賃金を上回る賃金や割増賃金を支払うなど、労働関係の法律を順守して違反していない

★印の項目について、追加解説します。

2人以上の労働者を常勤で雇用していれば、個人事業主も対象になります。

この助成金は「これから取り組む企業」を支援するものなので、すでにボランティア休暇が制度化されている企業などは対象外となります。すでに就業規則にボランティア休暇について書かれてあれば、応募できません。

限定700社、事前エントリーの「時間制限」に注意を

ボランティア休暇制度整備助成金を受けることができるのは700社までです。

助成金の交付を希望する企業などは、以下のURLにアクセスして「事前エントリー」をします。

ボランティア休暇制度整備助成金 | ボランティア休暇制度の整備 | TOKYOはたらくネット

上記のページに「事前エントリーはこちら」というボタンがありますが、これは受付日の受付時間しか押すことができません。

事前エントリーの受付は6回(6日)あり、以下のとおりです。( )内は、その回の予定社数です。

<事前エントリーの受付日>(いずれも2020年。以下同)

第1回:5月12日(150社)

第2回:6月5日(150社)

第3回:7月10日(50社)

第4回:7月30日(150社)

第5回:9月11日(150社)

第6回:10月13日(50社)

上記のサイトから事前エントリーできるのは、上記の日にちの「10~15時」の5時間だけです。

事前エントリーをすると、登録したメールアドレスに「申込受付番号」などが記載されたメールが届きます。これで事前エントリーが完了します。

事前エントリーの件数が予定社数を超えた場合、抽選が行われ、選ばれた企業などだけが「申請」できます。

1回の事前エントリーで、1社1回応募することができます。事前エントリーをして抽選に漏れたら、次回以降の事前エントリーに応募することができます。

助成金の給付までの流れ

事前エントリーから助成金給付までの流れを紹介します。

事前エントリー

(抽選で選ばれれば)事業計画書と交付申請書を提出して申請する

助成事業の実施:ボランティア休暇制度を社内に導入する

実績報告書を提出する

助成金請求書を提出する

助成金が給付される

問い合わせ先は、下記のとおりです。

東京都労働相談情報センター 事業普及課 企業支援担当

電話 03-5211-2248

ボランティア休暇制度の内容については、章をあらためて解説します。

どのようなボランティア休暇制度にすればよいのか

ボランティア休暇制度整備助成金制度の事前エントリーの抽選で選ばれて、本申請を行い、それが受理されたら「助成事業」に着手します。

助成事業とは、実際に、自分の会社にボランティア休暇制度を導入することです。

 2カ月間で制度を導入しなければならない

助成事業は、定められた2カ月間で実施しなければなりません。

その2カ月間は、事前エントリーの回ごとに決まっています。

<助成事業を実施する期間> ( )内は事前エントリーの受付日

第1回:7月1日~8月31日(5月12日)

第2回:8月1日~9月30日(6月5日)

第3回:9月1日~10月31日(7月10日)

第4回:10月1日~11月30日(7月30日)

第5回:11月1日~12月31日(9月11日)

第6回:12月1日~2021年1月31日(10月13日)

例えば、第4回の事前エントリーで選ばれた企業は、10月1日~12月31日の2カ月間で、次に紹介するボランティア休暇制度を導入しなければなりません(助成事業を実施しなければなりません)。

この2カ月間の前に実施しても、あとに実施しても、助成金の対象外になってしまいます。

ボランティア休暇制度とは

助成事業として企業に導入するボランティア休暇制度は、次の条件をすべてクリアしなければなりません。

・休暇日数は、従業員1人あたり年3日以上

・休暇は、連続でも分割でも取得できるようにする

・対象となるボランティア活動に「スポーツ大会」を含める

・無償ボランティアも有償ボランティアも制度の対象にする

・休暇を取得したときの賃金は、有給でも無給でもよい

・休暇を取得した従業員を不利に取り扱ってはいけない

・ボランティアの実施期間を定めるなど「時限的な制度」にしてはならない

・年次有給休暇とは別に定めなければならない

・「対象者」「対象ボランティア」「年間休暇日数」「休暇取得時の賃金の取り扱い」「休暇の申請方法」を定めて、就業規則などに記載する

・就業規則などに、改正日と制度の施行日を記載する

企業がボランティアを後押しする意義

東京都のボランティア休暇制度整備助成金の額は、いわゆる「1回きり」の20万円です。

もし、従業員たちに、有給でボランティア休暇を与えたら、人件費などのコストは、簡単に20万円を超えるでしょう。

そのためこの助成金は、企業が「ボランティア重視」を始める切っ掛けと考えたほうがよいでしょう。

では、企業は、そこまでしてでも、従業員のボランティアを支援したほうがよいのでしょうか。

答えは「したほうがよい」となります。

なぜなら、従業員がボランティア活動に積極的になると、次のような「よいこと」が、その会社にもたらされるからです。

よいこと1:社会や住民とコミュニケーションが深まる

企業は、マーケティングでも営業でも販売でも、社会や住民たちとコミュニケーションを取っていかなければなりません。

しかし、企業が普通の企業活動をしているだけでは、コミュニケーションを深めることはできません。

なぜなら、企業が普通の企業活動のなかでコミュニケーションを取ろうとしても、消費者たちは敏感に「ビジネス・コミュニケーション」であることを感知してしまうからです。

マーケティングや営業活動に多額の予算をかけている企業は少なくありませんが、それでも確実に成果が得られるわけではないのは、社会や住民たちの本音を引き出せていないからです。

従業員たちが「企業人」を離れてボランティア活動をすれば、社会や住民たちの本音に触れることができます。

それは、ビジネス活動では得られない「気づき」を、その従業員に与えるでしょう。

よいこと2:「ビジネスの種」を発見できる

ボランティアの助けを必要としている人たちやボランティアの現場は、社会の困りごとを抱えていることがほとんどです。

また、ボランティアが必要な作業は、ビジネス化しにくいという特徴を持っています。

社会の困りごとも、ビジネス化の困難さも、どちらも「ビジネスの種」です。

もちろん、従業員たちはボランティア精神でボランティアに参加するので、ビジネスの種が得られることは副産物でしかありません。

しかしその種が、大きな実をつけることになるかもしれません。

よいこと3:消費者によい印象を持ってもらえる

経営者が従業員にボランティアを奨励して「消費者によい印象を持ってもらおう」と考えることは、少し「はしたない」考えかもしれません。

しかし、消費者からよい印象を持たれている企業と、消費者から悪い印象を持たれている企業では、ビジネスのしやすさが全然違います。

ビジネスも社会活動である以上、社会から「よい」と認識されることは大切です。

消費者によい印象を持ってもらう目的で従業員をボランティアに送り出すのは「はしたない」かもしれませんが、従業員がボランティア活動をした結果、会社の印象がよくなることは、素直に喜べることです。

よいこと4:従業員が生き生きする

ボランティア活動には、人の価値観をよい方向に変える力があります。

ボランティア活動をした人は、次のことを発見したり得たりするでしょう。

・労力を無償で提供することの喜び

・助けを受けた人からの感謝の言葉

・困りごとの発見

・困りごとの解決方法の発見

・困っている人々の実情

・人の優しさ

・人の残酷さ

・人々の無力さ

・人々の力強さ

・社会の実情

・社会の優しさ

・社会の残酷さ

・行政のいたらない点

・企業のいたらない点

こうしたことを1つでも得られたら、人として成長するはずです。ボランティア活動から会社に戻って来た従業員たちは、生き生きしているはずです。

その成長ぶりは、「明日のビジネス」には役に立たないかもしれません。しかし、「3年後のビジネス」や「10年後のビジネス」には必ず役立つはずです。

まとめ~背中を押してあげよう

企業の経営者や幹部社員は、ボランティア活動に関心を持ちましょう。もし、経営者たちが自分でボランティア活動ができないのであれば、「やりたい」と手を挙げている従業員の背中を押してあげてください。

社会や住民と調和しない企業が栄えたことはありません。従業員たちのボランティア活動支援は、社会との調和の第1歩になるはずなので、企業を成長させられるでしょう。

参考URL:
ボランティア休暇制度整備助成金 | ボランティア休暇制度の整備 | TOKYOはたらくネット

ボランティア休暇制度整備助成金 よくある質問 (令和2年度用)

東京都ボランティア休暇制度整備助成金申請の手続き

この記事を担当したライター

classwork編集部

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