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資格手当は賞与?1万円の手当にも社会保険料がかかる? 〜手当と社会保険料〜

ケース1:資格手当について

年金事務所の調査で、資格手当として支払った一時金の内容を見直し、賞与に当てはまるのであれば賞与支払届を提出するように、との指導を受けました。「賞与に当てはまる」とはどういうことでしょう?

支給方法によって、「給与」なのか「賞与」なのかが異なります。社会保険料の計算方法や、必要な届出が変わってくるので注意が必要です。

ケース2:赴任手当について

従業員の転勤に伴い、一時金として赴任手当を支払いました。赴任手当からも社会保険料を控除する必要がありますか?

赴任手当が規程に定められているかを一番に確認しましょう。定めてあれば費用として処理することができ、社会保険料を控除する必要はありません。一方で、規程になく、都度稟議で決裁するような赴任手当は、社会保険料の控除が必要な一時金に当てはまることがあります。

この記事では、一時金や資格手当、赴任手当が賞与に該当する場合の判断ポイントを詳しくご紹介します。また、その際、社会保険料を控除すべきなのかもあわせて確認しましょう。

賞与の定義とは

社会保険の賞与に該当するものは名称に関係なく「労働の対償」として支給されるもののうち「年3回以下」支給されるものです。

具体的には次のようなものが該当します。

【賞与に該当するもの】

・夏、冬の賞与

・ボーナス

・決算手当

・期末手当

・夏季手当や冬季手当

・繁忙手当

・年末一時金や期末一時金 など

・自社製品など金銭以外の現物で支給されるもの(金銭に換算して支給額を算定)

年4回以上支給される場合は標準賞与額の対象とはならず、標準報酬月額の対象となり、場合によっては随時改定で月額変更届(月変)を提出しなければなりません。

また、次のようなものは賞与に該当しませんので覚えておきましょう。

【賞与に該当しないもの】

・結婚祝金や出産祝金

・お香典など弔慰金

・災害見舞金

・大入袋

賞与の対象となるか否かの判断ポイントは「労働の対償」である点です。賞与に該当しないものは、従業員の労働とはなんら関係なく支給されるものです。

給与規程で賞与やボーナスを分割支給する旨を定めている場合は年4回以上の分割であれば賞与にかかる報酬として扱います。給与と合算して支給されていても毎月の報酬には含めず、1年分を12分の1で按分して報酬額として保険料を算定します。給与規程に分割支給の定めがある場合は注意しましょう。

賞与の対象外となるもの、「大入袋」とは?

大入袋とは興行の大入りの際に配られるもので「労働の対償とならないもの」をいいます。昨今は会社の予算達成に大入袋を配る会社もあるようですが、興行の満員御礼の大入袋と予算達成の大入袋では意味合いがちがいますので注意が必要です。

予算を達成した時に配られる大入袋は「労働の対償として配られている」と認識します。決算賞与的なイメージでしょうか。そのため、名称は「大入袋」であっても賞与に該当します。

余談ですが、所得税法では、1万円の大入袋をもらえば労働の対償であるか否かに関係なく課税対象です。年末調整に反映が必要となるため、覚えておきましょう。

支給方法や規程の定めにより扱いに注意が必要なもの

会社から支給する手当であっても、規程の定めや支給方法により賞与として扱うものや給与として扱うものなど様々です。よく耳にする資格手当と赴任手当を例に確認していきましょう。

○資格手当

資格手当は支給方法によって扱いが変わります。いくつかパターンをご紹介しましょう。

(1) 資格取得時に一時金として報奨金の意味合いで支給する場合は「賞与」に該当します。標準賞与額として賞与支払届の提出が必要です。

(2) 従業員が所持している資格の名義を会社として登録して使う場合の資格手当は毎月支給されることが一般的です。その場合は毎月の給与で手当として支給しますので「給与」に該当します。定時決定に反映したり、支給額によっては随時改定(月変)の要件に当てはまることもありますので注意しましょう。

(3) 会社が従業員の資格を期限付きで名義登録して使用することがあります。建設工事などの主任技術者として届出する場合です。その場合は工期分の資格手当を一括で支払うことがあり、該当する期間分の手当を先払いしたと考えて期間計算して単月分の資格手当を按分計算します。イメージ的には半年定期券の金額を通勤費として一括支給した時に6分の1で按分計算するイメージです。

○赴任手当

赴任手当は、規程で定められているか否かで扱いが変わります。規程で定めていれば費用として扱い報酬とはなりません。また、赴任にかかる費用の実費を赴任手当として支給する場合も同様です。しかし、規程に定めていいない金額を一律支給する場合は給与として扱います。

○各種手当は規程に定める必要がある?

各種手当は規程に定めていなくても支給することが可能です。例えば稟議決裁で支給しているような場合です。しかし、規程の定め次第で、給与として扱うか、費用として処理するか、の処理が変わります。

赴任旅費は規程で定めていれば費用として扱います。定めがあれば帯同する家族の旅費や日当も費用とすることができます。

単身赴任手当や別居手当を毎月給与で支給する場合は、規程で定めてあっても給与となります。転勤者がいる場合はチェックするようにしましょう。

賞与ではなく給与の場合、随時改定もチェック

各種手当が賞与ではなく給与に該当する場合は、定時決定や随時改定もチェックが必要です。定時決定(算定基礎届)はすでに決められている標準報酬月額と実際の報酬が大きくかけはなれないように毎年4月から6月までの3カ月の報酬をもとに見直すものです。それ以降は、随時改定(月額変更届:通称「月変」)で調整します。

随時改定は次の要件を満たすときに実施します。

【随時改定の要件】

(1)昇給または降給等により固定的賃金に変動があった

(2)変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差がある

(3)3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上

一時金が給与と認識され固定的賃金が変更した場合は随時改定の要件をチェックするようにしましょう。

賞与から控除されるもの

一時金が賞与に該当すると標準賞与額を計算して社会保険料を控除します。控除される社会保険料は次の3つです。

・健康保険料

・厚生年金保険料

・雇用保険料

ただし、賞与の支給月の末日より前に退職した者には、その月の健康保険料と厚生年金保険料はかかりません。また、育児休業等で保険料免除期間中の者についても、健康保険料と厚生年金保険料はかかりません。雇用保険料のみを控除します。

これらの社会保険料以外にも所得税を源泉徴収しますので覚えておきましょう。

賞与支払届とは?

賞与に該当する一時金は標準賞与額の対象となり、支給した場合は「賞与支払届」を所轄の年金事務所(組合健保の場合は健康保険組合)に提出します。賞与を支給した日から5日以内に届出しなければなりません。標準賞与額は将来受け取る年金に影響しますのでモレのないようにしましょう。

賞与は支払予定月をあらかじめ年金事務所に登録することができます。登録していると予定月の前月までに被保険者名が印字された届出書が届きますので届出モレを防ぐことができます。登録した月に支給しなければ「不支給」として届出が必要となりますのであわせて覚えておきましょう。

支払った賞与がすべて標準賞与額となるわけではありません。標準賞与額は総支給額の千円未満の端数を切り捨てた額ですが上限があります。健康保険と厚生年金では上限の定めや判定方法がちがいますので確認しておきましょう。

健康保険:4月から翌年3月までの年度合計が573万円

厚生年金保険:1カ月150万円(同月に複数回支給された場合は合計額)

上限を超えても賞与支払届の提出は必要です。超えた月以降に支給した賞与も届出の対象となります。

また、産前産後休業や育児休業期間中の保険料免除期間の者や賞与支払月末日前に退職した者に支払われた賞与は保険料控除の対象外ですが、賞与支払届の提出は必要です。年度累計に必要なためモレのないようにしましょう。

賞与支払届の様式が変更されます

2020年12月に厚生労働省より「算定基礎届等に係る総括表」の廃止と「賞与不支給報告書」の新設が通達されました。

2021年4月1日から現在提出している「健康保険・厚生年金保険被保険者月額算定基礎届総括表」および「健康保険・厚生年金保険被保険者賞与支払届総括表」が不要となります。

賞与支払月を届出している場合の不支給の届出は新様式の「健康保険・厚生年金保険 賞与不支給報告書」または「船員保険・厚生年金保険 賞与不支給報告書」で行うことになります。

健康保険・厚生年金保険 賞与不支給報告書

出典:厚生労働省|健康保険・厚生年金保険 賞与不支給報告書

参考:賞与支払届の様式変更のニュース

一時金や各種手当が賞与に該当するかいなかは判断の難しいものです。賞与でなくても給与に該当する場合もありますし、社会保険の報酬の対象外として費用処理できることもあります。
基本的なルールをご説明してきましたが、迷う場合は専門家に相談することをお勧めします。
年金事務所の調査で発覚すると遡っての処理となり手続きも大変ですので、間違いのないように処理しましょう。

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記事監修

【監修者】特定社会保険労務士 浅井 富美代

スポット社労士くん社会保険労務士法人社員社労士。大学卒業後、流通業においてマネージメント業の従事を経て、開業登録。首都圏を中心として、就業規則や労務問題のコンサルティング活動を展開中。給与計算などの間接部門のアウトソーシング事業にも積極的に取り組む。