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withコロナ時代の新しい働き方と労務管理の3つのポイント

2020年5月31日現在、コロナウイルスに対する有効なワクチンはまだできていません。

ということは、今後、私達はコロナウイルスと共存をする必要がありますね。

withコロナ時代(=コロナとの共存の時代)には私達の働き方も変わります。

新しい働き方には、マイクロソフトが2019年に試験導入した週休3日制や、日立などの会社が取り入れている在宅勤務率50%制度などが挙げられます。*1

日本マイクロソフトは、自社の働き方改革の基本理念として、「ワークライフチョイス」を掲げています。「ワークライフチョイス」は、社員一人一人が、仕事(ワーク)や生活(ライフ)の事情や状況に応じた多様で柔軟な働き方を、自らがチョイス(選択)できる環境を目指すものです。その取り組みの中で、週休3日制を試験導入しました。この取り組みは今後も継続する可能性があります。*2

日立製作所は、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の全面解除を受け、在宅勤務を活用した働き方を定めました。オフィスに勤務する社員らに在宅を定着させ、2021年4月に「50%の在宅勤務を目指す」とするものです。

従業員にとってはますます利便性の高い働き方が広がりつつありますが、会社側から労務管理の立場で見ると、いくつかのポイントがあります。ここでは、在宅勤務・リモートワーク(以下「テレワーク」)を例にとって、考えてみましょう。

まずは、労務管理の基本的な立場を改めて確認しましょう。

労務管理の基本的な立場

労働基準関連法令の遵守

基本的な考え方として、テレワークでも労働基準関連法令を遵守する事にかわりはありません。

例えば、 労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法 などがあります。

また、厚生労働省では、「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」を発行しています。

「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」には労務管理上の留意点がまとまっていますので、目を通すとよいかもしれませんね。
https://www.mhlw.go.jp/content/000553510.pdf

※ガイドライン中での"テレワーク"は、在宅勤務、サテライトオフィス勤務(所属するオフィス以外のオフィスでの勤務)、リモート勤務(臨機応変な場所での勤務)の3つを指しています。

つづいて会社側から見た、テレワークのメリット・デメリットを整理します。

会社側から見たテレワークのメリット・デメリット

テレワークにおける会社側のメリットとしては、次のようなものがあります。

○業務効率化による生産性の向上

○育児・介護等を理由とした労働者の離職の防止

○遠隔地の優秀な人材の確保

○オフィスコストの削減等

一方で、デメリットとしては、次のようなものが挙げられます。

○労働時間の管理が難しい

○評価・賃金の決定が難しい

○働き過ぎ/怠けるなどの就業の不安定さ

それでは、テレワークの労務管理の3つのポイントについて見ていきましょう。1.労働時間の管理 2.評価・賃金の決定(従業員のパフォーマンス管理) 3.働きすぎ/怠けることなどに関する管理 の順にご説明します。

1.労働時間の管理

一般的に、従業員はテレワークによって長時間労働をしてしまう可能性が高くなると言われています。

その理由として、テレワークは職場で上司や同僚と過ごすような目に見える働き方ではない分、時間の使い方や仕事の区切りの付け方がうまくいかず、働きすぎてしまうことが考えられます。

このような調査結果もあります。

情報通信機器を利用した多様な働き方の実態に関する調査結果 (企業調査結果・従業員調査結果)
https://www.jil.go.jp/institute/research/2015/documents/0140.pdf

会社側では労働時間の管理としてどのような対応ができるでしょうか。次のような対応策が挙げられます。従業員の意思に任せてしまうのではなく、適切に管理がなされるような仕組み作りを行うことが重要です。

○時間外・休日または深夜のメール送付の抑止

○会社システムへのアクセス制限

○テレワークを行う際の時間外・休日・深夜労働の原則禁止

○長時間労働等を行う労働者への注意喚起

2.評価・賃金の決定(従業員のパフォーマンス管理)

テレワークでは、従業員の働いている様子を会社側が見ることができなくなり、その成果は、成果物で見るほかなくなります。

そのため、長期的展望を考えると、多くの会社が使用している年功や能力を重視した等級・評価・賃金制度から、より成果を重視したものへとアップデートすることが良いと考えられます。

その為には、各職務の洗い出しを行って職務分掌を明確にし、「仕事に人を当てはめて考えること」が重要です。その次に、その職務ごとの評価・賃金制度を構築していくのです。

3.働き過ぎ/怠けることなどに対する管理

最後に、2.で検討した成果主義的な処遇制度と合わせて、面白い取り組みをしている会社を紹介します。

求人広告のトーコンホールディングスは、社員の残業時間がゼロでも、月に30時間分の残業代を支払う制度を導入しています。*3

単純な時間給だと、効率的に働いて残業を減らした社員の方が、残業時間が多い社員より給与が少なくなるという矛盾が生じるためです。

これにより従業員は生活残業などを行わず、短い時間で仕事を終えるインセンティブができるのです。

以上、テレワークの労務管理における3つのポイントを見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

新しい働き方はメリットもたくさんあります。上手に管理して、より生産性高く働いていきましょう。

引用一覧

*1)マイクロソフト 報道資料 https://news.microsoft.com/ja-jp/2019/10/31/191031-published-the-results-of-measuring-the-effectiveness-of-our-work-life-choice-challenge-summer-2019/

*2)共同通信社 https://www.roudou-kk.co.jp/news/8290/

*3)日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO11346050V00C17A1XVA000/

記事監修

classwork編集部

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